冠水時間と食害が河川沿いの砂礫堆におけるネコヤナギ挿し木苗の生残と成長に及ぼす影響
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概要
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河川沿いに生育するネコヤナギの生残と成長に及ぼす要因を明らかにするために, 長さ20 cmの1年生枝を河川沿いの砂礫堆に挿し木し, 挿し木苗の生残および生育期間終了時のシュート長, 植食者による食害の有無を調べた。地表面の冠水時間は植栽直後には挿し木苗の生残に負の効果を示したが, 3カ月後では正の効果を示した。苗の生残に対して昆虫害は正の効果を呈したが, ウサギ害は影響していなかった。萌芽性樹木に対する枝葉の食害は, 樹木の蒸散面積を減少させるため, 挿し木苗の生残に間接的に貢献するかもしれない。生育期間終了時のシュート長には冠水時間だけが正の影響を呈した。ネコヤナギ挿し木苗は, 初期では冠水時間の長い低比高の立地ほど生残が困難であるが, 3カ月後には冠水時間が長いほど生残と成長が促進されるものと考えられる。食害は, 河川沿いの立地に分布する萌芽能力の高い植物の生残を間接的に促進することと, 地表面の冠水時間が植物の生残に及ぼす影響は, 植物の成長の程度によって異なることが示唆される。
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