異なる土壌水分条件がシデコブシ2年生実生苗の葉のフェノロジーおよび水分生理に与える影響
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概要
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異なる土壌水分条件が絶滅危惧種シデコブシの実生苗に与える影響を調べるために,ガラス室内で滞水区,冠水した流水区,乾燥区,対照区の四つの土壌水分処理区を設置し,2年生実生苗について葉のフェノロジーおよび水分生理特性を調べた。滞水区と乾燥区での落葉率の高さから,土壌中の酸素濃度の低さや乾燥に対するシデコブシの感受性の高さが顕著に示された。夜明け前の葉の水ポテンシャルは乾燥区の実生苗で低かった。葉の水分生理特性値については,膨圧を失うときの水ポテンシャルは滞水区および乾燥区の実生苗で処理前よりも低下した。十分吸水したときの浸透ポテンシャルは滞水区の実生苗でのみ低下した。シデコブシの葉では主として冠水ストレスに対して浸透調節,乾燥ストレスに対して弾性調節が行われると推定される。一方,流水区の実生苗では落葉率と葉の水分生理特性に処理の影響が認められず,シデコブシの保全には,湧水や流水を伴う湿地が不可欠と考えられる。
- 2006-12-01
著者
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木佐貫 博光
三重大学大学院生物資源学研究科
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斎場 勇治
三重大学大学院生物資源学研究科
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武田 明正
三重大学大学院生物資源学研究科
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斎場 勇治
三重大学大学院生物資源学研究科:(現)愛知県豊田加茂農林水産事務所
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