迷路瘻孔の症状及び予後について
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概要
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著者らは過去数年間に12例の迷路瘻孔症例を経験したので, その症状及び予後について, 又瘻孔部位による差違について症例をあげ検討し報告した. 要約すると以下の如くである.<BR>(1) 瘻孔部位は, 外側半規管7, 卵円窓5であり, 7例に真珠腫が認められた.<BR>(2) 12例中10例が眩暈を訴えているが, うち7例は外側半規管瘻孔症例 (全例) であった.<BR>(3) 聴力損失は, 気導では中等度乃至高度であった. 骨導低音域では, 外側半規管瘻孔症例では正常のものが多いのに反し, 卵円窓瘻孔症例では低下しているものが大部分であった.<BR>(4) 瘻孔症状は5例に認められ, 全例とも外側半規管瘻孔症例であった.<BR>(5) 自発眼振は4例に認められた.<BR>(6) 温度眼振は反応低下しているものが大部分であった.<BR>(7) 筋膜皮弁による瘻孔閉塞は, 全例において成功し, 術後, 眩暈及び瘻孔症状は全例消失した.<BR>(8) 術後聴力変化は, 外側半規管瘻孔症例では7例中, 改善3, 不変4であり, 卵円窓瘻孔症例では5例中, 改善1, 不変1, 悪化3であった.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文