扁桃組織中のCathepsinについて
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概要
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扁桃炎は疼痛, 発熱等の局所および全身症状ばかりでなく, 腎炎, リユマチ等の病巣感染症を起こすことがある. この基礎に働らく免疫学的研究は多いが, 生化学的解明も重要である.<BR>カテプシソは自己融解酵素と考えられて来たが, その生体内での活性も研究されるようになり, その意義も漸次解明されようとしている.<BR>この研究では扁桃中にカテプシンの強い活性が存在することと, その性格について研究した. まづカゼインを基質としてこれを分解する酵素の存在を確認した. そこでヘモグロビンを基質として酵素活性を測定するとpH2から4の間特に3.5に強い分解作用がみられた. 更に尿素変性ヘモグロビンで中性及びアルカリでの酵素作用を検討するとpH3から8に亘ってかなり広い酵素作用の存在することが分った. Cysteinによってヘモグロビン分解は促進された.<BR>つぎにアルブミンを基質として分析した. これに対する至適pHは2.5と3.5の所に認められた. そしてCysteinは活性を亢進した. t-AMCHAはプラスミンの特異的抑制物質と考えられていたが, pH3.5の所でアルブミンの分解を抑制した.<BR>カテプシンは至適pH, 酵素活性に対するCysteinの態度, 基質特異性などから, A, B, C, D, Eに分類されている. ペプシン様作用をもつA, トリプシン様のB, キモトリブシン様のC等である. これらの分類からみると扁桃中のカテブシンはDを中心としたものと考えられる.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文