生下時胸腺摘出家兎の扁桃における<SUP>3</SUP>H-チミジンのとりこみに関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 目的<BR>本実験は, 扁桃の免疫生物学的な機能および, リンパ性組織としての位置を明らかにせんとして行なった. 既に, 中枢性リンパ組織として認められている胸腺との関係から追求するため, 生下時胸腺摘出, 若年期胸腺摘出を家兎に対して行ない, 扁桃の免疫機能の変化を検索した.<BR>2. 実験方法<BR>生下時胸腺摘出は, 生後12〜24時間以内に行い, 若年期胸腺摘出は, 生後4週および8週目に行なつた. 抗原として, ウシ血清アルブミンを用いて, 筋注により感作を行なった. DNAの特異的前駆物質であるチミジンに, 放射性同位元素<SUP>3</SUP>Hを標識した<SUP>3</SUP>H-チミジンを腹腔内に注射して, 抗体産生細胞の動態の変化を追求した. 組織学的には, オートラジオグラフィーにより, 定量的には, 液体シンチーレーションカウンターを用い, 扁桃と他のリンパ性組織である脾, リンパ節, 虫垂との関係を観察した.<BR>また, 新生児期胸腺細胞に, <SUP>3</SUP>H-チミジンを標識して, 生下時胸腺摘出せる幼仔家兎の腹腔内に注射し, 標識胸腺細胞が, 扁桃, 脾リンパ節に移行することを確認した.<BR>3. 結果<BR>生下時に胸腺を摘出せる家兎の扁桃では, 非手術例にくらべて, <SUP>3</SUP>H-チミジンのとりこみは明らかに減少した. また, 扁桃, 脾およびリンパ節におけるカウント数の減少も著明に見られた. しかし, 若年期胸腺摘出例では<SUP>3</SUP>H-チミジンのとりこみは, 扁桃において, 減少せず, かえって増加の傾向すらうかがわれた.<BR>感作例では, 非感作例よりも, とりこみが多くみられるが, これは, 胸腺の存在下に著明であった.<BR>組織学的に, <SUP>3</SUP>H-チミジンがよくとりこまれるのは, 胚中心周辺の被殻, 髄索, 上皮下で, 二次小節中心部にはほとんど見られなかった.<BR>これらの観察から, 口蓋扁桃は, 胸腺によって「末梢化」された二次リンパ性組織であり, 胸腺がリンパ系細胞の供給源として大きな位置を占めるのは, 生後の極く短かい期間であると考えられる.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
関連論文
- S状静脈洞血栓症に続発した小脳ヘルニアの1例
- 扁桃の局所免疫能と免疫学的位置づけに関する研究
- 生下時胸腺摘出家兎の扁桃における3H-チミジンのとりこみに関する研究
- 耳癌腫治療の現状と自験例の反省
- 澱粉ゲル電気泳動法によるヒト口蓋扁桃の可溶性蛋白分屑の研究:特にγ-globulin位成分と腎との関係について
- ヒト口蓋扁桃の核酸量と比放射活性の研究
- Indications for tonsillectomy in cases of nephrotic diseases