鼻咽腔炎の自律神経学的研究
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概要
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鼻咽腔炎が頭痛, めまい, アレルギー等の種々な遠隔疾患をしばしば合併する事実は, すでに堀口により研究されている.<BR>本論文は各遠隔疾患を伴う鼻咽腔炎の自律神経学的背景を研究する目的で, 多元的自律神経機能検査法であるMecholyl BAPG Testを使用し, Mecholyl Testに於ける血圧変動に伴う左右両耳垂の容積脈液図により各遠隔型鼻咽腔炎の自律神経学的病態を解析究明したものである.<BR>症例は, 鼻咽腔炎例100例の内遠隔型88例, 単純型12例で下記の如き結果を得た.<BR>1) Mecholyl BAPG Testで単純型12例はNormal Patternを示したが, 遠隔型88例は全てPathologic Patternを示した.<BR>2) 遠隔型をその症状から3亜型 (めまい型, アレルギー型及び頭痛型) に分類すると, 各亜型のMecholyl BAPG Patternは夫々特徴的であつた.<BR>3) 鼻咽腔炎の局所治療のみによる遠隔症状の消失乃至改善は, Mecholyl BAPG Patternの或る病的要素の正常化をもたらした.<BR>上記の結果から著者は, 夫々異つた性質の自律神経学的素因をもつ個体が鼻咽腔炎を併発すると特有の遠隔症状を現わすこと, 鼻咽腔炎の臨床的意義はその潜在性持続的自律神経刺激にあること等を明らかにした. これ等は, 堀口学説の正当性を立証するものと考えた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文