感音系難聴耳 (特にsensory-neural defects) における蝸牛神経活動電位
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概要
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医用電子計算機を応用してヒトの外耳道より非手術的に蝸牛神経活動電位 (AP) を記録した. 音響刺激にはクリックを用いた. 電子計算機の平均加算回数は500回であった. 被検者には平常聴力者6名, 感音系難聴 (sensory-neural defects) と診断されたもの15名, 合計21名を対象にした. これらの被検者よりAPを記録し, クリック強度の函数としてN<SUB>1</SUB>潜時およびN<SUB>1</SUB>振幅を測定した. 下記の如き結論を得た.<BR>1. 正常耳に対して<BR>(a) N<SUB>1</SUB>潜時は, 個体差によるバラツキは非常に少なく, 電極位置により影響されることもほとんどなかった.<BR>(b) N<SUB>1</SUB>振幅の入出力曲線は, クリック強度70-80dB (peak eq. SPL) を境にして, 明らかに異なる二つのcomponent, H-curve及びL-curveから成っていた.<BR>2. 感音系難聴耳に対して<BR>(a) sensory-neural defectsにおいてはN<SUB>1</SUB>振幅減少が著明であった. 振幅減少は特に, 高音域 (4000Hz以上) での聴力損失の程度と密接に関係すると思われた.<BR>(b) N<SUB>1</SUB>潜時は概して延長する症例が多かった.<BR>(c) APの波形は, くずれた型を呈すものが多く認められた.<BR>(d) N<SUB>1</SUB>振幅の入出力曲線は以下の如く三つの型に分類できた.<BR>第1型……H-curve正常に近く存在.<BR>L-curve一部残存.<BR>第2型……H-curve一部分欠如.<BR>L-curve消失.<BR>第3型……H-curve一部残存または消失.<BR>L-curve消失.<BR>(e) sensory-neural defectsにおいては, N<SUB>1</SUB>の入出力曲線は, 異常なパターンを呈すことが認められた. この事は臨床上, 重要な意義を持つものと考える.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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