言語発達における模唱の機能 (1) : ―健常児2児の分析から―
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概要
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言語発達過程にみられる模唱の機能について, 1歳6ヵ月から2歳3ヵ月まで, 健常児2児の自由会話を調べ, 以下の知見を得た.<BR>1) 模唱の発生頻度は1歳8〜9ヵ月に全発語数の約20%と最も多くみられ, 以後漸減して2歳以降は2%以下になった.<BR>2) 模唱を機能別に調べたところa) 大人に促された模唱, b) echolalia, c) 言語的に意味があると思われた模唱に分類できた.c) はさらに (1) 子供の意図, 行動, 感情等を大人が言語化したときに生じた模唱, (2) 音韻やリズムを楽しんで行った模唱, (3) 聞き返し, 返事, 命令のために使われた模唱, (4) ふざけて行った模唱に細分できた.<BR>3) 月齢毎に模唱の機能の量的変化をみると, どの時期もc) が多く, その中でも (1) (2) の占める割合が多数を占めた.このことから (1) (2) は子供の模唱意欲を高め, ひいては言語発達に関与すると考えられた.一方a) は親の養育態度によるところが大きく, これがあまり続くと子供が拒否的になるようすが観察された.b) は量的にはごくわずかで, 健常児にはあまり大きな意味をもたないと考えられた.<BR>4) 模唱の形態的変化を追跡すると, 初期は語の一部の模唱であったものが, 年齢が進むにつれ1語の模唱, 2語の模唱へと発達し, 同時に語形変化, 反対語, 模唱に別の語を付加するなどが現われ, 模唱を使って意思表示ができるようになっていった.さらに模唱を含んだ自発話へと発達し, これらから模唱がcommunication toolとして用いられていく過程が読み取れた.
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