フェニルフルオロンによるチタンの比色定量 : 無機分析に用いられる有機試薬の研究(第3報)
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概要
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2,3,7-三ヒドロキシ-9-フェニルフルオロンは,ゲルマニウム,スズ,ジルコニウムの比色定量試薬として用いられているが,チタンに対しても鋭敏に反応して,その呈色はチタンの量に比例しベールの法則を満足する.検量曲線の勾配から求めた感度は,過酸化水素法の約20倍,チタン(III)-アリザリンS法の約2倍,濃硫酸-チモール法とほぼ同程度であってかなり鋭敏なものの一つである.チタンのフェニルフルオロン錯化合物は,他の金属の場合とことなり,シクロヘキサノール・エタノールの添加により完全に溶解し沈殿を生じない.このような利点のある反面,呈色が溶液の酸性度によりかなり変化するという難点があるので,酸性度は厳密に一定に保たれる必要がある.
- 社団法人 日本分析化学会の論文