バゼドキシフェン酢酸塩(ビビアント®錠20 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
バゼドキシフェン酢酸塩(BZA,販売名:ビビアント®錠20 mg)は,米国ワイス・エアスト社(現ファイザー社)で開発され,本邦では2010年7月に閉経後骨粗鬆症を適応として承認された新規な選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である.バゼドキシフェンは,in vitro試験では骨代謝および脂質代謝に対してエストロゲン受容体作動性を示し,中枢神経系,子宮,ヒト乳がん細胞に対してはエストロゲン受容体拮抗作用を示した.また,in vivo試験では,BZAは子宮内膜上皮および子宮筋層の肥大ならびにC3遺伝子発現誘導作用(子宮刺激作用の指標)や乳腺刺激作用といった生殖器系へのエストロゲン様作用を示さないか,ごく弱いことが確認され,かつ,ラロキシフェン(RLX)の子宮に対する影響に拮抗した.その一方で,血中コレステロールの低下あるいは骨減少の抑制等のエストロゲン作動性に基づく作用を示した.閉経後骨粗鬆症モデルである卵巣摘除加齢ラットの1年間経口投与試験(有効用量0.3 mg/kg/日)および卵巣摘除サルの18ヵ月間経口投与試験(有効用量0.5 mg/kg/日)では,卵巣摘除による骨減少を抑制し,正常な骨微細構造を有する骨が形成されたが,生殖器を含む他の臓器には有害な影響はみられなかった.海外第III相臨床試験では,椎体骨折の相対リスク減少率はRLX投与群と同等であった.骨折リスクの高いサブグループにおいては,非椎体骨折の発現頻度が有意に減少した.安全性に関しては,SERM特有の副作用である静脈血栓塞栓症,ほてりおよび下肢痙攣はRLXと差異はなく,これらの副作用を除いては心血管系および脳血管系事象ならびに死亡を含めて全般的な安全性の懸念は認められなかった.これらの成績から,バゼドキシフェンは新規SERMとして骨粗鬆症治療の新たな選択肢として期待されている.
著者
関連論文
- 新薬紹介総説 プレガバリン(リリカ カプセル25mg・75mg・150mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- プレガバリン(リリカ® カプセル25 mg・75 mg・150 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- 胸部誘導によるビーグル犬の心電図QT間隔計測の有用性について
- 実験動物におけるQT補正の実際 : ビーグル犬およびアカゲザルにおけるQT補正式について
- プレガバリン(リリカ^【○!R】カプセル25mg・75mg・150mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- バゼドキシフェン酢酸塩(ビビアント®錠20 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- バゼドキシフェン酢酸塩(ビビアント^【○!R】錠20mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- 低分子経口抗リウマチ薬トファシチニブクエン酸塩(ゼルヤンツ®錠5 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績