ο-フェナンスロリンによる錫および鉛合金中の鉄の光度定量法
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概要
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著者は先に錫基バビットメタル中の鉄定量方法として硫酸溶液から臭化水素酸を使用して錫およびアンチモンを揮散させたのち,スルホサリチル酸で発色させて比色する方法を報告し, JISホワイトメタル分析方法として内定を見た.この方法をハンダ中の鉄の定量に応用する時はその含有量がJIS成分規格によれば最高0.03〜0.06%の微量であり,かつスルホサリチル酸の鋭敏度が稍々低いために相当多量の試料を秤取する必要が生じ,いきおい揮散等の操作にも不便を来すことになる。そこで感度高く,しかも操作の簡易な点を勘案して,ο-フェナンスロリン発色法で定量すべく先ず基礎的条件を検討し次いで実際試料に適用した.<BR>なおASTM法でも錫,アンチモン,および砒素を臭化水素-過塩素酸法で揮散させ,銅を金属鉛で除去した後,ο-フェナンスロリンで発色させ定量しているが,実験に徴するに相当の熟練を要するようであったので,著者は先に報告した臭化水素-硫酸法で錫,アンチモン,および砒素を揮散させ,さらに試薬添加順序,量を改め,なお銅または亜鉛と分離するのに水酸化アルミニウムと共に鉄を共沈させる方法を適用して好結果を得た.<BR>また本法はハンダのみならず,ホワイトメタル(錫基,鉛基)にも適用できるので,綜合して錫,鉛合金(ホワイトメタル,ハンダ)中の鉄定量方法として報告する.