チオ尿素およびその誘導体のヨードアジド反応におけるpHの影響 : ヨードアジド反応およびその微量定量分析への応用に関する研究(第2報)

概要

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微量の含硫化合物の定量分析にヨードアジド反応の原理を利用できることを前報に述べた.この方法は含硫化合物の溶液にヨードアジド溶液を色変化の認められるまで滴下し,その滴下量を測ることによって行なわれる. ここではチオ尿素(I)および1-メチルチオ尿素(II),1,1′-ジメチルチオ尿素(III),1,1′,3-トリメチルチオ尿素(IV),1,1′,3,3′-テトラメチルチオ尿素(V),1,3-ジフェニル1′,3′-ジエチルチオ尿素(VI)のようなチオ尿素誘導体について,この反応のpH依存性を調べた. 各化合物の一定量を含む溶液のpHが5~11の範囲で変えられ,これらの各溶液に対する滴下量が比較された.その結果,化合物VIを除いてはいずれも酸性で活性,アルカリ性で不活性という結果を得た.ただし,この結論はpH5以下のものについては適用できない. これらの結果はまた,各化合物の含量とヨードアジド溶液滴下量との間の比例関係がいずれのpHの場合にも成立つことを示している. 更にこれら化合物の結果から,チオ尿素の水素原子に対する置換基の影響が示され,反応性の大小関係は次のようになることが結論された. pH5では I<II>III>IV>V pH6では I<II≈III>IV>V pH7では I<II<III>IV>V
社団法人日本分析化学会の論文