4-(2-ピリジルアゾ)-レゾルシン(PAR)による銅の光度滴定
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概要
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4-(2-ピリジルアゾ)-レゾルシン(以下PARと略記)は,従来広く用いられている1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール(PAN)と同様にキレート滴定の指示薬として有用であるが,水に溶けやすい点でPANより使いやすい利点がある.とくに水溶液中でコバルト,鉛,ウランなどの金属イオンを比色定量する際には試薬と金属イオンとの錯体の水溶性とモル吸光係数がPANのそれと比べて大きいために良好な結果をあたえている.PARはFig.1に示すようにドナー原子(太字)が同一平面上にある三座配位子として金属イオンに作用し,鉄(III),コバルト(II),ニッケル(II)とは金属と試薬のモル比が1:2の錯体を,銅(II),亜鉛(II),カドミウム(II),水銀(II),鉛(II)とは1:1の錯体を生成する.これらのうち,銅(II)イオンはとくに試薬との錯生成が迅速に進み,取扱いが便利なので,PAR溶液自身の濃度を決めたり,逆に濃度が決められたPAR溶液によって銅(II)イオンの濃度を決めたりする目的で,容易に光度滴定をおこなうことができる.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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