分析化学におけるNMRの応用 : C.N.Reilley教授特別講演
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概要
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かつては,一握りの構造化学研究者のみの興味の対象に過ぎなかった赤外吸収分光法が,瞬時のうちに化学・生物学・医薬学・農学の研究者の日常手段となってしまったが,核磁気共鳴吸収分光法(NMR法)も装置の価格の点では赤外法に水をあけられてはいるものの,発展普及の速度を比べれば,はるかにこれをしのぐものがある. Bunsen, Kirchhoffの昔とて同様であるが,最近のように科学の分野が細分化されると,一つの測定手段の創始,開発,応用それぞれに違った分野の専門家の有機的協力がなければ成功を収めがたいわけであるが,赤外法やNMR法は,その協力が著しい成果をあげつつあるといえる.しかしながら,装置が高価になればなるほど,また,得られたチャートがみごとになればなるほど,人はえてして分析結果のすべての責任を装置に転嫁してしまう危険を生ずる.一昔前,重量分析や直視終点法の容量分析について,分析者の負っていた責任は,いかに高価な分析機器を利用しているにせよ,現在の分析者もまた負うべきである.そのためには,分析者は,利用しようとしている機器分析法についての基礎原理,利点,弱点,限界などを十二分に会得していなければならない.その豊富な分析化学者としての経歴を背景にして,多くの湿式分析法の基礎となる溶液内錯生成反応の根本的解明に成功したNorth Carolina大学のC.N.Reilley教授は,分析化学者としての立場から,高分解能NMRの分析化学への応用における問題点や現状を,"東京NMR"プリシンポジウムの講演で明確に指摘した.以下は,同教授が当日映写されたスライド原稿および筆者の聴講メモを材料として筆者が構成した講演の概要である.<BR>なお,Reilley教授の講演は四十数枚のスライドを使用して約1時間にわたって行なわれた.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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