血清不飽和鉄結合能測定における簡易分光光度定量法
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概要
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血清たん白の一つであるトランスフェリンは鉄代謝に関与し,血清中の鉄を輸送する働きがあり,アルカリ域で鉄と結合する.ここに報告するのは,この性質を利用し既知過剰量の鉄を加えてトランスフェリンを飽和させ,ついで結合されずに残った余剰鉄を定量することにより不飽和鉄結合能(UIBC)を測定する方法である.既知過剰量の鉄イオン溶液そのままではアルカリ域で不安定であるためニトリロ三酢酸(NTA)-鉄キレートとして安定化した.トランスフェリンと結合した残りのNTA-鉄キレートはバソフェナントロリンスルホン酸ナトリウム(BPT)を用いて定量した.鉄とBPTキレートは波長535nmに極大吸収をもち,鉄として600μg/d<I>l</I>までベールの法則に従う.この実験条件で,トランスフェリンと鉄との結合力ならびにNTA,BPTと鉄とのキレート生成力は,pH8.4〜8.7の範囲において,トランスフェリン≒BPT>NTAの関係があることを確認した.この方法ではビリルビン10mg/d<I>l</I>で,ほぼ15μg/d<I>l</I>の正誤差を生じ,また回収試験は平均94.4%であった.<BR>人血清UIBC測定に応用し,変動係数1.3%であった.しかも本法は操作が簡単迅速という特長をもっている.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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森川 惇二
栄研化学株式会社研究所
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高瀬 一栄
栄研化学株式会社研究所
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大沢 劉三郎
栄研化学株式会社研究所
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森川 惇二
栄研化学株式会社栄研イムノケミカル研究所
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大沢 劉三郎
栄研化学株式会社栄研イムノケミカル研究所
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