硫化ナトリウム類の容量分析法 : 硫化アルカリ還元に関する研究(第1報)
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概要
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硫化水素ナトリウム中に硫化ナトリウムまたは多硫化ナトリウムが混在する系において,それぞれを正確に定量する方法を検討した.すなわち,(1)硫化ナトリウム,多硫化ナトリウムのヨウ素滴定では,これらと等モルのヨウ素を消費する.しかし塩酸による中和滴定では,硫化水素ナトリウムの1モルは,1モルの塩酸で中和されるが,硫化ナトリウムおよび多硫化ナトリウムでは,2モルの塩酸で中和される.そこでこの違いを利用して,硫化水素ナトリウム中の硫化ナトリウムまたは多硫化ナトリウムを定量しようとした.(2)硫化水素ナトリウムを水に溶解する場合,その加水分解は1段であるが,硫化ナトリウムは2段に加水分解する.そこでそれぞれの塩酸による滴定曲線を描くことにより,硫化水素ナトリウムおよび硫化ナトリウムの定量を行なうことができるはずである.以上二つの方法の検討を行なった結果,(1)では,硫化水素ナトリウム中の硫化ナトリウムおよび多硫化ナトリウム分の定量が可能であり,(2)の方法では,硫化水素ナトリウム中の多硫化ナトリウムについては分析できないが,硫化水素ナトリウム中の硫化ナトリウムおよび硫化ナトリウム中に存在する水酸化ナトリウム分の定量ができることが判明した.すなわち,硫化アルカリ溶液の分析には,ヨウ素滴定と中和滴定曲線を作成することにより,これまでできなかった混合硫化アルカリ溶液の分別定量が可能になった.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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