有機化合物のX線光電子スペクトル
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概要
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X線光電子分光法 (“XPS” あるいは “ESCA” と略称されている) は最近急速に発展した新しい分光学的手段である。この方法の原理は新しいものでないが, 信頼性のあるスペクトルを得るには高度の実験技術が必要であるために, 長年にわたり注目されないままに放置されていたのであった。Uppsala大学のK. Siegbahnが, 原子核物理の実験技術を基礎としてX線光電子分光装置を開発するプロジェクトを始めたのが1951年頃のことであるが, その成果が発表されはじめるにおよんで, 数年前からにわかに脚光をあびるようになった。最近では市販の装置も入手できるようになり, かなりの速度でこの方法が普及しはじめている。<BR>X線光電子分光法は広い応用範囲を持っている。有機化学の分野でもいろいろな応用の可能性が期待されている。現在のところ, 測定技術, スペクトルの解析方法などの基礎的な問題で未解決のことがらも少なくなく, 有機化学者により十分に使いこなされる段階にはまだ達していない感もあるが, 以下, X線光電子分光法の応用に関心を持つ有機化学の分野の方々を念頭において, 有機分子のX線光電子スペクトルに関連した二・三の問題を述べることにしよう。
著者
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