有糸分裂阻害剤の化学とチューブリン分子の認識
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概要
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CLC部位に作用する化合物の構造要因は立体化学も含めて比較的単純で, STG (3) やPDT (4) のような複雑さを要しないように見える。事実, 多数の合成剤も作られている。しかし, これら薬剤の対象であるカビ, 寄生虫などに耐性が出やすく, <I>A.nidulans</I>のBZ剤耐性株で解析されたβ-TNの変異点が6箇所にも及ぶという事実とよく一致している。<BR>一方, 現在までに知られているVLB-MAY部位に作用する化合物は, 皆多数のキラル中心を持つ複雑な構造で, 今までは構造の部分修飾による活性の変化が調べられていた。今後は, 単純化した必須の構造要因を明らかにし, 分子認識機構を解明していくことも期待したい。この部位を標的とする薬剤の医薬・農薬としての応用では, VLB-MAY部位でのβ-TNの変異が起こりにくいことから, 耐性は出にくいという利点が予想される。<BR>以上述べてきたように, TNとこれに結合してその機能を阻害する化合物との間の相互作用について, 多くの事実は明らかになってきたが, 依然として, これら阻害剤がTNの3次元構造の何処にどのように結合しているのかは全く分っていない。そのために, 阻害剤を非可逆的に結合する (アフィニティラベル) 試みも続けられている。また, 何時か, TN-リガンド複合体の結晶解析も可能となることを願っている。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
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