三塩化イミノシアヌル酸の応用研究 (第1報) : 三塩化イミノシアヌル酸およびアントラニル酸の合成について
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概要
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シアヌル酸のアルカリ溶液に塩素ガスを通じて三塩化イミノシアヌル酸 (三塩化イソシアヌル) Iを合成し, 反応条件および生成したIの純度測定について検討した。窒素含有率によつて純度を測定したシアヌル酸 (3〜15g) を当量の3%カセイカリ溶液に溶解し, 0〜3℃ に保ちながら, 室内散光下および紫外線照射の下に, 流速約5.2cc/secの塩素ガスを2hr通入して, 三塩化イミノシアヌル酸を理論の80%前後の収率で得た。粗製品の融点はかなり広範囲 (mp 195〜225℃) で特有の不安定性から再結晶による精製が困難と認められたので, 含有塩素の測定を行つて純度を決定した。含有塩素率の測定方法としてはカリウス法とヨウ素滴定法とを行い, 両者が一致した数値を与えることから, 三塩化イミノシアヌル酸の純度決定には簡便な点で, ヨウ素滴定法がすぐれていることを認めた。<BR>応用法としてはフタルイミドからアントラニル酸を合成するホフマン減成の反応に, 次亜塩素酸ナトリウムの代りに, 三塩化イミノシアヌル酸の応用をはじめて試みた。<BR>反応の推移, 最適条件などについて検討した結果, 反応はきわめて円滑に行われ, 三塩化イミノシアヌル酸を理論量の約1.4倍用いた場合, 最高収率として理論の90%が得られることをたしかめた。また反応後ほぼ定量的に回収されるシアヌル酸は三塩化イミノシアヌル酸の合成に再使用できることを認めた。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
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