日本における雪渓の地域的特性 (III) : 谷川岳東面一ノ倉沢雪渓の調査
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概要
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1976年と1977年に, 一ノ倉沢雪渓の融解消滅していく過程について調査を実施した.現在までに得た記録によれば, この雪渓が消滅したのは1893年・1948年と1973年であったが1976年11月初旬また融解消滅した.この雪渓の規模は天神平の積雪の多寡と密接な関連があるが残存量は融雪期の気温に影響される.1976年は天神平の積雪最深値は3.7mで平年を下回ったが気温推移が平年より2度低く経過し11月初旬まで残存したのち消滅した.1977年は天神平の積雪最深値は4.9mで平年をわずかに上回るものであったが融解期の気温推移が平年より3〜4度低く経過したため10月下旬の段階で面積で7,000m<SUP>2</SUP>.体積で21,000m<SUP>3</SUP>が残存し, その後大幅に新雪期が遅れたにもかかわらず12月初めに最終的な越年雪として9,000m<SUP>3</SUP>が残り新雪期をむかえた.