雷鳥沢なだれ調査報告
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概要
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北アルプス立山の周辺では, ほとんど毎年のように大小のなだれ事故が発生している. 1968年初めに山小屋雷鳥荘を破壊したものは, 最近では最も大きななだれ事故で, 同年5月より3回にわたりこのなだれ跡の調査を行なった.<BR>調査を実施したときは, 既に自然積雪もデブリも共にざらめ化が進み, 区別が困難であったので, 付近の地獄谷の温泉をパイプで引湯して雪を融かし, 散乱物の介在する層を見出してデブリ層を確認した. その結果, デブリの分布範囲は, 幅約150m長さ約250m以上あり, その形から雷鳥沢で発生したなだれであることが判明した. デブリの体積を概算すると約4・3×10<SUP>4</SUP>m<SUP>3</SUP>以上, また, その質量は2.3×10<SUP>4</SUP>t以上となった.<BR>厳冬期の大きな新雪なだれは大量の新雪が積ることが必要条件であると考えられる. 立山では冬期気象観測がされていないが, その周辺の気象観測所で同時に大きな新積雪深を記録した日を調べ, 更にその日以前と以後の積雪当水量と積雪中のデブリの位置を考慮した結果, このなだれは1968年1月15日頃発生したものと推定した.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
著者
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