直腸漿膜の子宮内膜症より発生したと考えられる漿液性腺癌の1例

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子宮内膜症の癌化率は1%前後とされている．そのほとんどは卵巣子宮内膜症の癌化で，卵巣外の子宮内膜症が癌化するのはまれである．腸管の子宮内膜症から発生した腫瘍はendometriosis associated intestinal tumors：EAITsとして報告されているが，その組織型は類内膜腺癌や明細胞腺癌がほとんどで，その他の組織型はまれである．今回，直腸漿膜の子宮内膜症を母地として発生したと考えられるEAITsで，組織型が漿液性腺癌であった症例を経験したので報告する．症例は45歳，子宮腺筋症，左卵巣子宮内膜症の診断にて，41歳時に子宮全摘術と左付属器摘出術が施行され，術後には年1回の検診が行われていた．今回，下痢を主訴に当院消化器内科を受診，CTとMRI，下部消化管内視鏡にて直腸の右側に5cm大の粘膜下腫瘤を指摘された．直腸gastrointestinal stromal tumor：GISTを疑って外科にて開腹手術が行われたが，その腫瘤は直腸漿膜面から発生する充実性腫瘍であった．術中迅速病理組織診断はadenocarcinomaでミュラー管組織由来も考えられたため，低位前方切除術に加え右付属器摘出術を行った．摘出臓器の病理組織診断は直腸の子宮内膜症から発生した腫瘍（EAITs）で，組織型はserous papillary adenocarcinomaであった．また右付属器には悪性所見を認めなかった．術後，腹腔内化学療法（CBDCA）および全身化学療法（TC療法）を施行し，経過観察中である．〔産婦の進歩63（2）：94-98，2011（平成23年5月）〕

直腸漿膜の子宮内膜症より発生したと考えられる漿液性腺癌の1例

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