高グルカゴン血症を伴つたインスリン自己免疫症候群の1例
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概要
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高グルカゴン血症を伴つたインスリン自己免疫症候群の1例を報告する.症例は40才,男性.過去にインスリン注射の既往はない.初発症状は低血糖発作で,主として深夜,早朝に認められ,血糖値は13mg/dlであつた.血糖の日内変動では,朝食前の13mg/dlから昼食後90分の243mg/dlまで変化し,尿糖の出現を伴つていた. 2抗体法で測定した血中インスリン値は約10,000μU/mlと極めて高値を示した.酸エタノール抽出総インスリンおよびC-ペプチド値はそれぞれ1372μU/ml, 21ng/mlであつた. 125I-インスリン結合能は82%であつた. specific precipitation法で求めた患者血清中のインスリン結合抗体はIgG, κ型で,ヒトおよびブタインスリンはこ強く,ウシインスリンに弱い親和性を示した.インスリンレセプター抗体, C-ペプチド抗体は存在しなかつた.患者は自然寛解を示し,空腹時血糖,総インスリン, C-ペプチド値は正常値に近づいた.低血糖発作は寛解中認められなかつたが, 7カ月後再び出現した. 30Kを用いて測定した血中グルカゴン値は最高5290pg/mlと極めて高値を示したが,他の膵グルカゴン抗体を用いたRIAでは,より低値を示し,測定法により大きな差を生じた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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平野 正美
名古屋保健衛生大学医学部内科学教室
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森下 剛久
名古屋保健衛生大学医学部内科
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重村 はるひ
名古屋保健衛生大学医学部内科
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平野 正美
名古屋保健衛生大学医学部内科
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平野 正美
名古屋保健衛生大学内科
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