甲状腺機能異常症におけるrenin-angiotensin-aldosteroneとcatecholamine
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概要
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甲状腺機能亢進症25例と甲状腺機能低下症15例においてrenin-angiotensin-aldosterone系とcatecholamineの分泌・代謝動態ならびにその相関を検討した.血漿renin活性(PRA)と血漿aldosterone (PA)の基礎値は,甲状腺機能亢進症では,甲状腺機能低下症と比べて有意に増加していた. PRAの夜間変動が,甲状腺機能亢進症で著明に認められたが,甲状腺機能低下症では低値に保たれていた. furosemideに対するPRAとPAの反応は,甲状腺機能低下症で低下した.甲状腺機能低下症において, ACTHに対するPAの反応は,薬理量(250μg)の1回静脈内投与では,甲状腺機能亢進症よりは低下していたが,微量持続投与では有意差を認めなかつた.一方尿中dopamine排泄は甲状腺機能亢進症で,血漿noradrenalineは甲状腺機能低下症で有意に増加した. metoclopramide (10mg, i. v.)に対するPA反応は,甲状腺機能低下症で低下した.甲状腺機能亢進症において, PRAと血漿adrenalineの間に有意の相関が認められたが,この時の血漿adrenalineは正常範囲内の変動であつた.これらの結果から,甲状腺機能亢進症におけるPRAの上昇は, β-受容体に対する感受性の亢進によることが示唆された.また甲状腺機能低下症では, dopamineはaldosteroneの分泌調節に, renin-angiotensinより,重要な役割を演じているとは考えられなかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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