血清creatine phosphokinase (CPK),ミオグロビンが異常高値を示した糖尿病性ケトアシドーシスの1例

スポンサーリンク

概要

• 論文の詳細を見る

• 血清CPK,ミオグロビンが異常高値を示した糖尿病性ケトアシドーシスの1例を報告する.症例は23才の女性で,以前に糖尿病と診断されたことはなかつた.入院時昏睡,ショック状態であつた.血糖は526mg/d1,血中,尿中ケトン体は陽性であつた.動脈血pHは7.16,重炭酸イオンは9.2mEq/lであつた.少量インスリン持続注入療法,輸液にて覚醒した.入院時血清CPK, LDHはそれぞれ124IU/l, 181Wro.Uと正常であつたが,血清ミオグロビンは2745ng/m1と上昇していた.治療開始後CPK, LDHは上昇し,ミオグロビンはさらに上昇した.血清ミオグロビンは入院後2日目で11690ng/mlに, CPK, LDHは3日目にそれぞれ29000IU/l, 1758Wro.Uと最高に上昇した.血清ミオグロビン, CPK, LDHは約10日で正常に復した.CPKアイソザイムではMMが95〜97%, LDHアイソザイムではLDH5が最高58.5%を占めていた.心電図には心筋硬塞を示す所見はなかつた.また臨床上筋炎,外傷も認めず,筋注も行なわなかつた.肝生検では肝細胞壊死を認めなかつた.以上の検索より,本症例にみられた高CPKおよび高ミオグロビン血症は骨格筋由来のCPK,ミオグロビンが血中に遊出したために生じたと考えた.その機序として糖尿病性ケトアシドーシス,脱水,ショックなどにより,骨格筋のanoxiaが生じ,細胞膜透過性亢進が惹起された可能性が重要と思われた.

• 社団法人 日本内科学会の論文

著者

• 若原 達男

  岐阜市民病院 消化器内科

• 若原 達男

  岐阜市民病院

• 棚橋 忍

  岐阜市民病院内科

• 奥野 文隆

  岐阜市民病院内科

• 寺倉 俊勝

  岐阜市民病院内科

• 辻 孝

  岐阜市民病院内科

• 山田 重樹

  岐阜市民病院内科

• 辻 孝

  岐阜市民病院

関連論文

• 腫瘤形成性膵炎の像を呈した下部胆管癌の1例
• A型胃炎に合併した胃前庭部毛細血管拡張症の1例
• EST 後再発し, ESWL により治療しえた巨大総胆管結石症の1例
• 22)虚血性心疾患におけるHDL-コレステロールについて : 日本循環器学会第56回東海・第41回北陸合同地方会
• 血清creatine phosphokinase (CPK),ミオグロビンが異常高値を示した糖尿病性ケトアシドーシスの1例
• ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける血中cAMP濃度,組織cAMP含量および尿中cAMP排泄量の関係
• 早朝空腹時血糖値が正常化した糖尿病患者におけるインスリン低血糖時の血漿グルカゴン反応
• グルカゴンレセプタ-とグルカゴン作用 (グルカゴンの生理と臨床--最近の進歩)
• 糖尿病患者の早朝空腹時血漿cAMP
• 糖尿病患者における少量インスリン静注時の心電図変化と血清カリウム,血漿cAMPの変動との関係
• 家族内に多発したA型急性肝炎の臨床的検討
• 超音波誘導下吸引細胞診にて術前診断し得た肝cystadenocarcinomaの1例
• 重回帰分析を用いた肝細胞癌高危険群の設定とその限界 : 多施設アンケートによる集計ならびに早期診断症例の臨床的検討
• 急性膵炎に併発した門脈血栓症の1例
• 胆嚢炎を契機に発見され,肺出血により死亡した肝血管肉腫の1剖検例
• ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける血中cAMP濃度, 組織cAMP含量および尿中cAMP排泄量の関係
• タイトル無し
• FAMILY INFECTION OF HEPATITIS A

もっと見る 閉じる

スポンサーリンク