高度の心筋炎で死亡した進行性全身性硬化症と多発性筋炎のoverlap症候群の1剖検例
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概要
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症例は30才の女性で, Raynaud現象,発熱,顔面浮腫状紅斑,皮膚硬化および筋痛,脱力のため,昭和51年10月入院. GOT, CPK, LDHの上昇,抗核抗体陽性,筋電図上myogenic pattern,食道造影で拡張像,心エコー図で心外膜液貯留を認め,進行性全身性硬化症と多発性筋炎のoverlap症候群と診断した.副腎皮質ステロイド薬投与により,上記諸症状は軽快したが,昭和53年4月,嚥下障害,脱力,全身衰弱が急速に進行し, GOT, CPK, LDHの著明な上昇をみた。心電図上,右脚および左脚前枝の2枝ブロック,心室性期外収縮,接合部性頻拍がみられ,広範な心筋炎による心不全のため死亡した.剖検では,皮膚,肺,消化管に著明な線維化,諸々の骨格筋に萎縮,変性,壊死および炎症性細胞浸潤などを認め,病理組織学的にも進行性全身性硬化症と多発性筋炎の重複例であることが確認された.心臓には組織学的に特に心内膜側心筋層に広範な線維化と血管新生,正常心筋との移行部に炎症性細胞浸潤を認め,進行性全身性硬化症と多発性筋炎の両者の病理学的所見が混在した病像を呈した.膠原病の重複例は単独症例に比して重症化するものが多いが,重複例の剖検報告は少ない.心病変についても,重複例では単独症例に比して高率に発現し,かつ,重症化の傾向がみられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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上田 章
九大第一内科
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上田 章
九州大学医学部第一内科教室
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草場 公宏
九州大学医学部第一内科教室
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緒方 道治
九州大学医学部第一内科教室
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松尾 征治
九州大学医学部第一内科教室
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伊東 盛夫
九州大学医学部第一内科教室
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阿部 雅光
九州大学医学部第二病理学教室
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上田 章
九州大学医学部第一内科
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伊東 盛夫
九州大学医学部山岡内科
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上田 章
九州大学医学部第1内科
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草場 公宏
九州大学医学部第1内科
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