薬物により著明な黄疸(直接型高ビリルビン血症)が惹起されたと思われる来日インド人のglucose-6-phosphate dehydrogenase欠乏症を伴う腸チフスの1例
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概要
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18才のインド人男子高校生で,遺伝性の疾患であるglucose-6-phosphate dehydrogenase (G-6-PD)欠乏症があり,腸チフスに罹患し著明な黄疸と貧血をきたした症例を報告した.発病初期,チフス感染と鎮痛剤による溶血は始まつていたが,肝はそれをよく代償していて顕在性黄疸にはならなかつた.やがて病状の進展とともに腸チフスによる肝障害で胆汁分泌排泄障害がおこり,直接型高ビリルビン血症を示す著明な黄疸を生じたものと考えられた.日本人でのG-6-PD欠乏症は0.1〜0.5%程度であるが,インド人では3〜19%で1),同じ疾患でも,人種,地域により遺伝的要素もまた変わつてくることに留意し,投薬も細心の注意が払われなければならない.また今日我が国では発生の少ない腸チフスであるが,その症状の多様性には十分注意すべきである.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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三輪 史朗
東京大学医科学研究所付属病院内科
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国本 雅也
東京大学医科学研究所附属病院内科
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鳴戸 弘
東京大学医科学研究所附属病院内科
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清水 純孝
東京大学医科学研究所附属病院内科
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辻 正周
東京都立荏原病院感染症科
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鳴戸 弘
東京大学医科学研究所内科
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清水 純孝
東京大学医科学研究所内科
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三輪 史朗
東京大学医科学研究所附属病院内科
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