多発性根神経炎を伴つた成人トキソプラズマ症の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
37才,男性に発症したトキソプラズマ症で,多発性根神経炎を伴つた1例を報告する.発熱,全身倦怠感と共に有痛性の頚部リンパ節腫脹が出現,対症療法で一時軽快したが再燃し,全身の小紅斑と肝障害も認めた.発症3ヵ月後から四肢末梢ほど強いしびれ感と深部反射消失を認め,末梢神経伝導速度低下(右脛骨神経MCV39.3m/sec),髄液での蛋白細胞解離から多発性根神経炎と診断した.血中トキソプラズマ抗体が著明な高値と経時的に有意な上昇を認めた.リンパ節生検の組織像では非特異的炎症像を示したにすぎなかつたが,特異的蛍光抗体法によりリンパ節内に栄養型トキソプラズマ原虫を証明しえた.ピリメサミンとサルファ剤による治療で改善をみ,発症の経過,治療効果から,トキソプラズマ症に伴う多発性根神経炎と診断した.従来,トキソプラズマによる神経病変は,びまん性脳症,髄膜脳炎,脳内腫瘤病変が知られるが,多発性神経炎の報告はきわめて少なくその文献的考察を含めて報告する.
著者
-
宮地 純樹
公立学校共済組合関東中央病院第2内科
-
小須田 達夫
公立学校共済組合関東中央病院内科
-
滝沢 始
公立学校共済組合関東中央病院内科
-
小沢 英輔
公立学校共済組合関東中央病院内科
-
久冨 龍夫
公立学校共済組合関東中央病院内科
-
日高 紀子
公立学校共済組合関東中央病院内科
-
北島 拓弥
関東中央病院皮膚科
-
宮地 純樹
公立学校共済組合関東中央病院
-
宮地 純樹
公立学校共済組合関東中央病院内科
-
小須田 達夫
公立学校共済組合関東中央病院
関連論文
- 経気管支生検にて診断された多発性骨髄腫の 1 例
- 10 年間観察した Tracheobronchopathia Osteochondroplastica の 1 例
- 7.診断困難であった肺癌の1剖検例 : 第35回支部会 : 関東支部
- サルコイドージスの気管支鏡所見 : 28 集計例の分析と文献的考察
- 多発性根神経炎を伴つた成人トキソプラズマ症の1例
- A case of cardiac sarcoidosis with complete A-V block that was observed without steroid administration after artificial pacemaker implantation
- タイトル無し