透析患者におけるレニン活性の評価
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概要
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慢性透析患者におけるレニン活性(PRA)と高血圧の1)-5)研究は多い.我々はPRAとNa代謝を中心にPRAに対する透析療法の影響や,さらに安静時のPRAのレベルから3群に分類し各群の特徴を比較した.対象は61名の慢性透析患者で,安静時のPRA,透析後のPRA,およびΔPRA(透析後のPRA-透析前のPRA)の三つと透析に関係する種々の因子との間の相関性について推計学的に検索した. (1)安静時のPRAを規定する主要な因子は,前回の透析の際の除去Naおよび水の刺激に対する生体のレニン分泌能である. (2)透析後のPRAを規定する因子は,安静時のPRAと生体の除去Naと水に対するレニン分泌能が主役であつた. (3)透析前後のPRAに共通する因子は血清Naと年令であつた.従つてPRAはNa balanceを示すindicatorであり,又加令によりPRAが抑制されることが判明した. (4)安静時のPRAのレベルにより低レニン群(0.1〜5.0ng/ml, 13.1%),正レニン群(5.1〜30.0ng/ml, 65.5%)および高レニン群(30.1ng/m1以上, 21.4%)に分類した.その頻度を本態性高血圧例と比較すると低レニン群は約1/2と少なく,一方,高レニン群は約2倍であつた.高レニン群は若年で,低Na血症を呈しており,又除去Naと水の刺激に対するレニン分泌能が最も高値で,臓器障害としての眼底の高血圧性変化は最も高度かつ高頻度であつた.低レニン群は高レニン群の逆で,一方正レニン群は高レニン群と低レニン群の中間の値を示していた.
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