生化学の立場からみた肺の機能と病態
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概要
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肺の主要な機能はガス交換であるが,肺はその他にも種々の代謝機能を有していることが注目されている.肺の形態と機能の関連を理解するためには,肺の営んでいる物質代謝の立場からの検討は不可欠のものである.肺は脂質の代謝が活発であり,とくに肺表面活性物質の主成分であるリン脂質を生成して肺胞の機能を維持し,蛋白代謝は細胞の構成々分や,代謝を調節する酵素の生成の上から重要である.糖質はそれ自体の代謝よりむしろ,脂質代謝に関与し,その円滑な代謝を助ける.結合組識は肺の間質に存在し,老化や各種の病態時とくに間質性肺炎におけるコラーゲンや酸性ムコ多糖類の代謝が重要である.生理活性物質は,肺によつて活性化(アンジオテンシン),不活性化(ブラジキニン,セロトニン)をうける.プロスタグランディンはアラキドン酸から生成される.ヒスタミンは肺に多く,アレルギー反応の主役となる.これら生理活性物質は,気管支や循環に作用するのみでなく,全身のホメオスターシスの維持に働いている.このように肺は単に呼吸のみでなく,その代謝産物は肺の機能を調節し,全身の代謝にも関連している.今後種々の病態肺での代謝や,代謝異常により惹起される病態の解明など,この方面での研究の発展が期待される.本総説では,これらの肺の代謝の基礎について概説した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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