先天性無痛覚症にoculocutaneous albinismを合併した1例
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概要
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先天性無痛覚症(congenital insensitivity to pain)は常染色体劣性遺伝と考えられ,諸外国ではすでに数十例の報告があるが,本邦ではまだ報告が少ない.最近われわれは本症と考えられる女性で,常染色体劣性遺伝である汎白皮症(oculocutaneous albinism)を合併した1例を経験した.症例は19才の盲学校生徒で,右殿部の腫脹と微熱を訴えて来院.家族歴では両親がいとこ結婚,同胞4人のうち3人がalbinismである,患者はこれ迄に四肢の骨折を繰り返したが,その際痛みを訴えず,骨接合術なども無麻酔で行なわれた.現症では四肢の関節の変形,両側指趾の変形と母指末節骨の破壊,舌の瘢痕と下顎の歯肉欠損を認めた.全身の痛覚,嗅覚の消失が見られ,自律神経機能検査で異常が認められたが,温度覚,触覚,および深部知覚は正常で,発汗,軸索反射,知能,脳波,染色体に異常は見出されず,神経伝導速度は正常であつた.殿部の筋生検所見はmyositisの診断で, CPK 85.1, LDH 682単位と高値を示したが, 2週間で治癒した.先天性無痛覚症は極めて希な遺伝性疾患であり,これに汎白皮症を合併した例は調べ得た範囲では世界の文献にまだ報告がみられないが,二つの疾患の偶然の合併であろうと考えられた,さらに筋炎を合併した先天性無痛覚症の例もまだ報告されていない.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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宮本 成章
九州大学医学部第一内科教室人類遺伝研究室
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岩切 清文
宮崎県立宮崎病院整形外科
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渋谷 恒文
宮崎医科大学第二内科
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湯地 重壬
宮崎県立宮崎病院内科
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福島 勇
宮崎県立宮崎病院内科
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宮本 成章
九州大学医学部第一内科学教室
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宮本 成章
九州大学医学部第一内科
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