II型シスチン尿症の1例
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概要
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シスチン尿症は,尿細管におけるシスチンの再吸収異常が主要因であり,その結果臨床的には尿路系結石形成を主症状とする.遺伝的には,本症例は明らかに異なつた3群に分類されている.今回われわれは,高尿酸血症を伴い,頻回の尿路系結石形成で手術を受けたII型と思われるシスチン尿症を経験したので報告する.患者は69才の男性.昭和25年の膀胱結石摘出術以来,総計4回の尿管および膀胱結石による手術を受け,現在なお前立腺結石が認められる.尿中に六角形板状のシスチン結晶を認め,血清中シスチン,リジンおよびアルギニン濃度が対照以下にもかかわらず,尿中濃度はおのおの正常値の300倍, 52倍および5.7倍に増加していたことよりシスチン尿症と判定した.シスチン経口負荷試験では,負荷後血清シスチン濃度が正常者では上昇したのに対し本症例では低下したこと,異型接合体の尿中シスチンおよびリジン濃度が,正常値の5.5倍および8倍と高い事よりII型と推定した.本症例におけるシスチンの再吸収率は,正常値+99.4%に対し-117%と負の値を示した.この事実は糸球体で〓過されたシスチン量より尿中排泄量の方が多いことを意味し,尿細管からのシスチン分泌の可能性が考えられた.このような特異現象として現われる細胞内シスチン,またはシステイン移送異常が本症の基本的異常であり,それに伴い他の二塩基性アミノ酸再吸収異常も起こつていると考えられた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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