健康成人咽頭好気性菌叢の構成にかんする研究
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概要
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金沢市在住の満15才〜69才の健康人167名を対象に,咽頭菌叢の構成について種々の観点から解析を加えた.健康成人の咽頭菌叢を構成する菌種の範囲と量的多寡に一定の傾向がみられ,その構成は,本質的には,性別,年令や喫煙に左右されないものであつた.健康成人の咽頭菌叢は, α-Streptococcus, Neisseria, γ-Streptococcus, Micrococcus, Corynebacteriumの5菌種による固定的菌叢と,通常, 2〜4種の菌による流動的菌叢からなりたち,全体としての堅牢性を維持していると考えられた.季節的変動からみると,冬期に分離菌種の範囲や健康人一人あたりの分離菌種数のみならず,各菌の検出率が夏期よりも増大する傾向にあり,さらに,冬期菌叢には,老令や喫煙の影響ならびに菌相互の関係が複雑に作用しあつていることが示唆された.また,喫煙群の菌叢構成は,非喫煙群のものより,季節変化に安定であつた.それで,夏期菌叢が,その簡潔さから,季節的に最も基本的な菌叢構成を呈すると考えられた.抗生薬(ampicillin)投与による菌叢構成の撹乱は,流動的菌叢に著明にあらわれ,みかけ上の変化が回復しても,さらに引き続くことが示された.咽頭にグラム陰性桿菌を有する健康成人には,生菌や加熱菌に対する血中抗体価の上昇を認めなかつた.これらの成績は,一般呼吸器感染症や宿主防禦能低下時に発症する感染症の原因菌検索のために実施される咽頭培養の成績の解釈に有用であることが示唆された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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