術後2年1カ月生存した腎移植の1例
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概要
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非血縁者間の腎移植で比較的長期生存した1剖検例を報告する.36才.男子の慢性腎不全患者に非血縁の腎提供者(本態性腎出血患者28才・女性)より腎移植が行なわれた.術後2年1カ月間生存した非血縁腎移植としては本邦では数少ない長期生存例の一つである.移植後3回の急性拒絶反応を経過し,さらに1年6カ月後に後期拒絶反応後,この拒絶反応が慢性化した.この頃より免疫抑制薬の副作用として,重症ステロイド糖尿病,肝障害等を誘発し,さらに最後に真菌感染症を併発して死亡した。剖検では腎臓は糸球体は比較的良く残存していたが,その基底膜・メサンギウムの肥厚がみられ,また間質の線維化が著明で,慢性拒絶反応と考えられた.このほか,肝の中心性壊死,肺のクリプトコックス症がみとめられた、このように非血縁腎移植の長期生存例の術後管理上,免疫抑制薬の副作用,慢性拒絶反応などが多くの問題を有することを指摘した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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