胃液分泌の臨床的研究 : 硫酸ムコ物質について
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概要
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胃液ムコ多糖の臨床的研究に関連して,sulfated mucosubstancesの分析,同定ならびに測定を試み,その病態生理を明らかにせんとした. cetyl pyridinium chloride比濁法をヒト胃液に応用して,chondroitin sulfate Aを基準として定量する一方,電気泳動的に同定をはかつた.またその回収率・再現性を吟味して臨床応用の可能性を明らかにした.本法によるsulfated mucosubstances量は,sulfated glycoproteinおよびchondroitin sulfate A,いずれの分画についてみても,胃・十二指腸潰瘍群では明らかに対照群より低値を示した.しかしpepsin活性とこれらの分画濃度との間には相関性を認めることはできなかつた.また萎縮性胃炎を伴うさいには本法の比濁値が高まり,sulfate含量との間にも平行性が失われ,このあたりに本法の限界がうかがわれた.以上,CPC法を応用して消化性潰瘍のさいをこはsulfated mucosubstancesの分泌低下が認められることを明らかにした.その反応本態および病態意義については,なお今後の検討が必要と考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文