血清肝炎の発病率にかんする臨床的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
血清肝炎の発病を減少させるために次の事項について検討した. (1) 供血源が売血か献血かによつて,血清肝炎発病率にどれほど差異があるか. (2) 副腎皮質ステロイド薬が血清肝炎を予防し得るか否か.対象は394例で,輸血後6カ月間経過観察し,これを売血輸血を受けた売血群,売血輸血後間歇投与方式によりβ-methHAsoneを投与した売血-ステロイド投与群と献血を受けた献血群の3群にわけた.血清肝炎発病率は売血群57.8%,売血-ステロイド投与群18.9%,献血群20.1%であつた.売血群と献血群との発病率は献血群において明らかに低く,このことより献血輸血は血清肝炎発病率を大幅に低下せしめ得ることを認めた.売血-ステロイド投与群の発病率は売血群より著明に低く,また両群の発病率の差は輸血量・年令・性別・原疾患の差によるものではないことより,副腎皮質ステロイド薬が血清肝炎の発病を抑制したと推定した.