9年間重症糖尿病として加療された褐色細胞腫の1治験例
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概要
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患者は33才の男性で,9年来の治療に抵抗する糖尿病の治療のために入院した.入院後80単位のインスリン投与によつても,良いコントロールは得られなかつた.高血圧,発汗,高血糖より褐色細胞腫を疑い,薬理学的,生物学的検査およびX線像検査により腫瘍を確認し,手術により左腎門部より95gのパラガングリオーマを摘出した.摘出術後,高血糖と糖尿は著しく軽快し,耐糖能も改善された.褐色細胞腫により高血圧以外に種々の代謝障害が惹起されることはよく知られているが,重症の糖尿病を主症状とした例は比較的まれである.術後なお耐糖能の軽度低下を認めたことは,本例に家族歴で糖尿病の素因があるため,一次性糖尿病によるとも考えられるが,褐色細胞腫摘出術後も,ある期間耐糖能低下が見られる症例が報じられており,一次性糖尿病か,術後の耐糖能低下であるか,さらに経過観察を続けて行くことが必要と思われる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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