動脈硬化症の治療にかんする研究(第II報) : 第1編 リノール酸エチルエステルの抗動脈硬化作用第II編 デキストラン硫酸(DS)の抗動脈硬化作用
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概要
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動脈硬化症患者の血清脂質および脂酸構成の異常についてすでに報告したが,今回はリノール酸エチル(ELと略す),デキストラン硫酸(DSと略す)を本症患者および実験的動脈硬化家兎に投与して,脂質および家兎のアテロームの回復に及ぼす影響を観察した.患者にELを15g/日投与すると血清コレステロールは明らかに低下し,血清総脂酸構成ではリノール酸%, L/O比の著増が認められた.実験的動脈硬化家兎に5g/日投与すると血清脂質は低下し,血清,組織での不可欠脂酸の相対的欠乏は改善されたが,アテロームの回復は認められなかつた.一方, DS 450mg/日を患者に投与すると,中性脂肪の著明な低下を認め,アラキドン酸%の上昇傾向を認めた.実験的動脈硬化家兎にDSを120mg/日静注すると血清中の各脂質は低下し,脂酸構成の改善は血清においてのみ認められ,アテロームの回復は認められなかつた,以上の点より両薬物は動脈硬化症の治療としてよりは予防的に使用されるべきものと考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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