動脈硬化症の治療にかんする研究(第1報) 第1編蛋白同化ステロイドの抗動脈硬化作用
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概要
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動脈硬化症患者の血清脂質および脂酸構成について測定し,この両者に異常のあることを認め,これらの患者および実験的動脈硬化症家兎に,蛋白同化ステロイドのHMDを投与し,治療効果を脂質変動の面より検討する目的で実験を行なつた.本症患者の血清各脂質量は著明に低下し,投与前L/O比の低かつた症例全例にL/O比の上昇がみられた.実験的動脈硬化症家兎の,コレステロール中止後1カ月間の回復を觀察したところ, HMDを投与しない家兎では,脂質の面でも,アテローム面積百分率の面でも,回復が認められなかつたのに反して, HMDを5mg/日投与した家兎では,血清脂質の低下, L/O比の上昇,コレステロールエステル,燐脂質分画でのアラキドン酸百分比の上昇,大動脈,肝,または,それらの各脂質分画でも同様に脂酸構成異常の改善促進がみられ,アテローム面積百分率はHMDを投与しない家兎より遥かに小さかつた.以上の臨床的実験的研究の結果は,このステロイドが動脈硬化症の治療に用い得る可能性を示唆するものである.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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