動脈壁thromboplastic activityの研究特に動脈硬化症と本活性の関連にかんする検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
動脈壁に存在するthromboplastic activityの性状につき詳細な検討を行なうとともに,動脈硬化症のthrombotic theoryに立脚し,本活性と硬化性病変との関連につき,臨床的および実験的に検索した。大動脈壁を生食水とともにhomogenizeし,凍結・融解操作を行なつて得た抽出液中にはAstrupらの成績と異なり,組織thromboplastin活性は殆ど認められなかつたが,強力な血小板第3因子様活性が認められた.このthromboplastic activityは一定の条件下でthromboplastin生成試験により測定が可能であることを証明した.ヒトの剖検例において,硬化性病変を殆ど認めない大動脈には比較的弱い活性を認めたにすぎなかつたが,硬化性病変の進展に従って本活性の明らかな増強を認めた. Ianolin飼育家兎大動脈片の本活性は正常対照家兎に比して著しい高値示した. Ianolini飼育家兎においては粥状硬化病巣部の活性も,これを認めず,肉眼的にほゞ正常な部位の活性も同程度に高値を示したことより,本活性は動脈硬化の進展に関与するとの結論を得た.