原発性肺高血圧症の1剖検例
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概要
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18才の女子にみられた原発性肺高血圧症の1剖検例について報告する.生前,臨床的には全く診断がつかず,剖検によりはじめて明らかになつたものである.症例の全経過は発病後1年半の短期間,自覚症として,どうき,息切れ,失神発作を訴え,さらにチアノーゼを加え,次第に自覚症増強し心不全のため死亡したものである.聴診上,肺動脈弁口に最強点を有する拡張期,収縮期雑音を聴取し,経過と共に心雑音の性状の変化を来たし,末期には各弁口で心雑音が聴取される等,興昧ある心音所見を呈した.胸部X線像上,右心室の拡大,短期間内での左第2弓の著明な突出像あり,心電図では著しい右室肥大の所見,心カテーテルで肺動脈圧の測定はしなかつたが,剖検により肺小働脈壁とくに内膜の著しい肥厚が広範に認められ,肺内動脈硬化症(原発性)と診断されたものである.
- 社団法人 日本内科学会の論文