インスリン分泌の中枢性調節にかんする研究 : (第1報)糖負荷後のインスリン追加分泌における上部頸髄および中脳の意義について
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概要
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沖中らは広範な実験成績にもとづき,糖負荷後のインスリン追加分泌においては,背側迷走神経を中心とする末梢から中樞に亘る紳経反射調節機構が存在する可能性を想定したが,本論文では,さらに,これを具体的に裏付けるため,中樞神経系の一部である上部頚髄,および中腦を切断,あるいは部分的に破壊し,これが糖負荷後のインスリン追加分泌に及ぼす影響を観察した.すなわち,第Iないし第III頚髄切断,中腦切断および中腦腹側部両側磯壊犬においては,いずれもインスリン追加分泌は消失し,中腦腹側部片側破壊犬では,正常に比し軽度ではあるが,なお,糖負荷後膵静脈血中インスリン濃度の有意な上昇を認めた.さらに,腦定位固定装置により,中脳被蓋部を破壊した犬で,同様の実験を試み,破壊部位を組織学的に検討したところ,その局在性を明らかにすることは困難であつたが,主として,中腦網様体の一部を破壊した症例でインスリン追加分泌が消失する場合があることを認めた.これらの成績にもとづき,膵内分泌の中枢性調節にかんして若干の考察を加えた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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