炎症と副腎皮膚ホルモンに関する実験ならびに臨床的研究炎症部位をめぐるホルモンの動態と抗炎機序
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概要
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炎症における副腎皮膚ホルモンの局所への滲透と局所の組織細胞の代謝に及ぼす作用をみるため,肋膜炎イヌおよび肋膜炎患者内17-OHCS濃度をPeterson法の変法により測定,さらに滲出液内の諸物質の変動について副腎皮質ホルモン投与の影響を検討した.炎症に際して内因性に発動され,または外来性に投与された副腎皮質ホルモンが炎症局所の滲出液中に血中濃度を超えて集中なるのがみられた.そしてこの局所に蓄積したホルモンが,局所組織の嫌気の解糖に抑制的に,蛋白融解現象に阻止的に働くことを知った.一方濾出液ではかゝるホルモンの蓄積がみられない.炎症滲出液へのホルモンの出現の度はその炎症の急性,慢性の別,血中濃度の維持時間により異なり,また局所適用による血中濃度の上昇は一時的であること, ACTH投与では滲出液中へのホルモンの出現の遅いことなどの事実が知られたが,これらは副腎皮質ホルモンの臨床応用上重要なものと考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文