空洞の病態生理に関する研究とくに人肺空洞内温度について
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概要
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空洞の病態生理研究の一環として, カテーテル型サーミスター温度計を, 経気管支鏡的に空洞内に挿入し, 空洞内温度を測定し, 種々の観点より病態生理学的に観察してつぎの結果をえた.結核性空洞内壁温度は36.7-37.7℃の領域にあり, 直腸温と対応健側気管支末梢部粘膜温とのほゞ中間にあリ, 直腸温の上昇につれて上昇する. 空洞入口部・内腔および同内壁の各部の温度差はない. また空洞の大小による温度差もなく, かつ正常呼吸による温度変動も認められない. 空洞内温度は空洞の所在部位が, 肺門より末梢部にあるにしたがい高温の傾向を呈し, 同一深度では左右肺別の温度差はない. 空洞周囲病巣部気管支粘膜温度はその対応健側末梢気管支粘膜温と等温か, または軽度の高温を呈する. 空洞へのサーミスター到達率 (挿入率) は有空洞例の約45%であり, 拇指頭大程度の小空洞にも挿入可能である.
- 社団法人 日本内科学会の論文