混合型肝癌の臨床病理学的研究
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概要
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原発性肝癌剖検例393例中,混合型肝癌とみなされた10例について,臨床病理学的研究をおこなった.年齢,性,臨床症状,及び生化学的検査所見等は通常の肝細胞癌と比べ何ら異なることはないが,AFPは60%の症例に陽性で,値は10,000ng/ml未満の比較的低値のものが多く,CEAは88%と高率に陽性であった.肉眼的に中島の分類の浸潤型8例,混合型(浸潤型+膨張型)1例,びまん型1例で被包型は1例もみられなかった.組織学的に肝細胞癌と肝内胆管癌の接点で移行像がみられないもの7例(うち1例は重複癌),移行像のみられるもの3例であった.転移巣では血行性は肝細胞癌,リンパ行性は胆管癌の成分が多くみられた.混合型肝癌の発生について以下の3つの機序が考えられた.1)重複癌,2)肝細胞あるいは胆管細胞のいずれかを基盤として発癌したのち,その一部が他方へ分化する.3)肝細胞と胆管細胞の中間の性格を有する細胞に発癌,肝細胞癌,胆管細胞癌の両方向へ分化する.