下腸間膜静脈を介する巨大短絡路を伴い,Porto-systemic Encephalopathyで発症した原発性胆汁性肝硬変症の1例
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概要
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下腸間膜静脈を介する巨大短絡路を認め,肝性脳症で発症した原発性胆汁性肝硬変症(PBC)の1例を報告する.症例は64歳女性で昭和61年12月羽ばたき振戦,見当識障害を認めたため緊急入院となった.入院時高アンモニア血症を認め,門脈造影で下腸間膜静脈を介する巨大短絡路を認めたためporto-systemic encephalopathyと診断した.血液学的検査では抗ミトコンドリア抗体が高力価陽性でIgM高値,胆道系酵素の上昇が著明であった.肝楔状生検の組織像では結節形成はなく門脈域の円形線維化が著明で,胆管上皮へのリンパ球浸潤および上皮の多層化を認め,明らかなCNSDCの所見を認めないもののPBCに矛盾しない組織像と考えられた.また胆管に伴走する肝内門脈枝の内膜肥厚を認めた.猪瀬型脳症で発症したPBCの報告はなく,本症例はPBCの門脈圧亢進症の成因および臨床像を考える上で貴重な症例と思われた.
著者
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得田 彰
福井医科大学第2内科
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野村 元積
福井医科大学第2内科
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道鎮 正規
福井医科大学第2内科
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佐藤 富貴子
福井医科大学第2内科
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伊藤 重二
福井医科大学第2内科
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鈴木 邦夫
福井医科大学第2内科
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