Drug abuserに発症したデルタ肝炎の1例
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概要
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Drug abuserであるHBs抗原陽性慢性肝炎患者にデルタ肝炎ウイルスの重複感染が生じ,重症化したが,さいわいに救命しえた症例を報告する.症例は22歳,男性.家族歴では母および姉がいずれもHBs抗原キャリアー.海外渡航歴,輸血歴はない.昭和61年B型慢性肝炎の入院歴あり.昭和63年6月3日より倦怠感,嘔気がつづき,12日近医に入院後も腹痛,夜間不眠があり,劇症肝炎への移行が懸念され,15日当科に転院した.入院時意識清明.Tbilirubin 11-6mg/dl, GOT 1,126u, GPT 3,709u,プロトロンピン時間30%,ヘパプラスチンテスト13%,デルタ抗体陽性であった.Glucagon-Insulin療法を施行し,急速に病状は改善した.α-フェトプロテイン,尿中ポリアミンは高値で肝再生を示唆した.急性期にHBs抗原は陰性化し,3週後に陽転した.このことはデルタ肝炎ウイルスとHBウイルスは相互に干渉作用を有し,デルタ肝炎ウイルスが一時的にHBウイルスの増殖を抑制したものと思われた.
著者
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