ホルマリン固定パラフィン包埋肝生検組織におけるHCV関連抗原の検出法の確立
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概要
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ホルマリン固定パラフィン包埋肝組織を用いてC型肝炎ウイルス(以下HCV)関連抗原の検出法を確立した.免疫組織染色は酵素抗体間接法(Streptavidin-Biotin法)で行った.1次抗体として,HCV-coreおよびenvelope領域に対するポリクロナール抗体をcore領域に対する抗体は800倍に,envelope領域に対する抗体は400倍に希釈し,内因性アビジンビオチンをブロックした標本と4℃でovemight反応させた.染色結果では,coreおよびenvelope抗原とも肝細胞質にびまん性,細顆粒状の陽性構造として認められた.また,陽性細胞は肝小葉内に散在性に存在し,肝小葉内の区域およびリンパ球浸潤や肝細胞壊死部位との関連は明らかでなかった.C型慢性肝疾患における表出率はcore抗原44%, envelope抗原19%であり,両抗原陽性例ではその分布はほぼ一致したもののcore抗原陽性細胞に比べenvelope抗原陽性細胞数は少なかった.また,病態別による表出率および表出の有無による臨床生化学的検査値の間に差は認めなかった.したがって,ウイルスの存在様式と肝炎との関連では今後更にIFN投与前後など経時的検討や免疫系の関与を含めた検討が必要と考えられた.