肝疾患における血清GOTアイソザイムの臨床的意義
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概要
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肝疾患における血清m-GOT活性値を測定し,その臨床的意義を明らかにした.m-GOTの分離は,DEAE Sephadex A 50を支持体とするミニカラム法によって行ったが,分離能,回収性,同時再現性ともに良好であった.健常者231例のm-GOTは1.4〜4.0mIU (m±2S.D)であった.各種肝疾患のm-GOTは劇症肝炎の1例で1,463mIUと極めて高値を呈したほか,急性肝炎およびアルコール性肝障害で高値例が多く,m-GOTの高い症例は肝生検組織においても,変性,壊死の程度が強かった.慢性肝疾患では,病態の活動性の時期に一致してm-GOTの軽度上昇するのが観察されたが,殊にアルコール性肝障害では他疾患に比較してm-GOTのみならずm-GOT/total GOT比が上昇する例が多く,エタノールによるミトコンドリアの障害をよく反映しているように思われた.これらの結果より,血清m-GOTの増加は肝細胞壊死の程度や病態の活動性との相関性が認められ,肝疾患の補助診断法として有用と考える.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文