慢性肝疾患時の糖脂質代謝に対する糖質コルチコイドの影響
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概要
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耐糖能の低下は,慢性肝炎,肝硬変で認められ,その程度は肝実質細胞障害の程度に比例し,糖質コルチコイド投与では,肝炎群でのみその低下を認めた.インスリン分泌は慢性肝炎,肝硬変で増加し,肝疾患の有無に関係なく,糖質コルチコイド投与で増加した.慢性肝炎,肝硬変ではΔIRI,ΔBS共に増加したが,糖質コルチコイド投与群では非肝疾患ではΔIRIがΔBSに比して高値であったが肝疾患群ではΔIRIに比してΔBSが高く,その比は低下した.FFAは肝硬変群で空腹時に高く,糖負荷後に低下したが,他群では対照と差を認めなかった.中性脂肪,Preβリポ蛋白,コレステロールは,非肝疾患で,糖質コルチコイドを投与した群で増加し,肝硬変群では全て低値であった.以上の成績より,肝疾患の進展により,糖脂質代謝の変動が認められ,糖質コルチコイドの影響は,肝疾患の有無により異なることが推測された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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高橋 章
大阪市立十三市民病院内科
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中牟田 健
大阪市立十三市民病院内科
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重藤 俊夫
大阪市立十三市民病院内科
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中瀬 渉夫
大阪市立十三市民病院内科
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吉岡 通夫
大阪市立十三市民病院内科
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森本 高雄
大阪市立十三市民病院内科
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渡辺 寿彦
大阪市立十三市民病院内科
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神田 道郎
大阪市立十三市民病院内科